世間で認知は広がってきたけれど、まだまだ悩みも多いLGBTQの就活。
調査では、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル等の性的マイノリティの42.5%、トランスジェンダーの87.4% が新卒就活時に性的指向・性自認に由来する、下記のような困難(一部抜粋)に直面しているという報告もあります。(※2019年認定NPO法人ReBit調べ)
- ⼈事や⾯接官から、性的マイノリティでないことを前提とした質問・発⾔を受けた
- ⼈事や⾯接官が、性のあり⽅に関する知識や理解がなく困った
- 男⼥別のスーツやバッグなどを購⼊するうえで困った
- 性⾃認とは異なる性別として、就職活動をしなければならず困った
このような状況の中で、「これから就活に臨むことが不安」というLGBTQの方に向けて、
OSAKAしごとフィールドのサービスを有効にご活用頂きたいと考えています。本記事では、LGBTQの方向けに就活・転職活動においてのステップや、OSAKAしごとフィールドで活用いただけるサービスなどをまとめました。
オススメ動画
「無意識のうちに、LGBTQの方を傷つけてしまっていないか不安」
「LGBTQフレンドリーな企業には、どうやったらなれるの?」
今回はそんな「職場とLGBTQ」に関するお悩みについて、オープンリー・ゲイとしてLGBTQに関する情報発信をしている人気YouTuber「かずえちゃん」に相談しました。
本動画をきっかけに、誰もが働きやすい職場づくりについて考えてみませんか?
就活STEP1 自己理解
自己理解は就職活動の基盤として欠かせない作業ですが、特にLGBTQの求職者にとっては、自分のセクシュアリティをふまえたうえで「何を大事にするか」という軸を明確にする為の助けになるものです。
「自己理解」の取り組み方
「なにから始めれば…」と迷う方は、是非以下の記事を参考に取り組んでみてください!
自己理解のワークの中では、時に過去の辛かった経験などに向き合わなければならず、しんどさを感じることもあるかもしれません。その時は、無理に思い出す必要はありませんが、自分に向き合わず仕事や会社を選んでしまうことは、あなたのキャリアにとって大きなリスクになる場合もあります。
自分一人で自己理解を進めることに自信がなかったり、向き合うことに前向きになれない方は、まずはキャリアカウンセラーに相談してみるのもいいかもしれません。
OSAKAしごとフィールドでも、キャリアカウンセリングをご利用いただけます。キャリアカウンセラーは、LGBTQ等性的マイノリティに関する基礎的な研修を受講しており、プライバシーに配慮した個室などもご用意しております。通称名での登録、性別欄の自由記載等も可能です。安心して相談できる環境を準備して、お待ちしております。
就活の中で、カミングアウトすべき?
自己理解が進んだら、自分自身の様々な価値観が出てくるはずです。例えば、以下のような例が挙げられます。
- 自分のセクシュアリティについて隠さず、自分らしく働きたい
- 自分が経験したい仕事や業界かどうかを最優先に決めたい
- LGBTQに理解や配慮のある職場で働きたい
- 仕事とプライベートはハッキリ分け、あまりプライベートな事に関与されたくない
働くうえで大切にしたい・優先させたいことや、希望のキャリアプランは人によって異なります。そんな中、LGBTQの就職・転職活動で悩む方が多いのが「カミングアウトすべきかどうか」についてです。
大前提、就活においてカミングアウトは必ずしなければいけないものではありません。また、カミングアウトをする場合、そのタイミングに決まりはありません。
自己理解の結果や今後のキャリアプランをふまえつつ、カミングアウトする場合のメリット・デメリットを考え、ご自身にとっての最適なスタンスを検討しましょう。
カミングアウトするメリット
- セクシュアリティを隠すことに囚われず、就活に取り組める。
- 入社後、性自認にあった配慮をしてもらえる可能性がある。(相談しやすい)
カミングアウトするデメリット
- LGBTQに関する理解のない企業・担当者だった場合、LGBTQに関する基礎的な説明が必要だったり、不本意な評価に繋がる場合がある。
- アウティング(人の性自認や性的指向を、本人の許可なく他人に伝えてしまうこと)のリスクがある。
カミングアウトしないメリット
- LGBTQへの理解や知識の乏しい人事担当者への説明を避けられる。
- 企業側の様子を見ながら、カミングアウトをするか判断できる。
カミングアウトしないデメリット
- 自分のセクシュアリティを隠すことで、履歴書や面接、服装などに困難を感じる場合がある。
- 入社後、性自認にあった配慮がなされない可能性がある。
カミングアウトをする場合は、併せてゾーニング(「どの範囲の人にまでカミングアウトをするか」という線引き)の確認を行いましょう。カミングアウトした内容が、社内でどこまで情報共有されるのかなど、ご自身の希望も伝えつつ、実際の仕事の内容や現場の状況も確認したうえで相談できると良いでしょう。会社側とのすり合わせをしない事によって、不本意なアウティングに繋がるケースもあります。
また、更衣室やお手洗いなどに配慮が必要な場合は、どのような配慮が必要かも伝え、相談できると良いでしょう。
就活STEP2 企業・業界研究
自己理解を進め、自分の興味や適性・スキル・強み・弱みなどが明確になったら、興味のある業界や企業の研究に取り組みます。
LGBTQフレンドリーな企業を選んだ方が良い?
LGBTQが働きやすい職場づくりに取り組んでいる企業のことを「LGBTQフレンドリーな企業」と呼んでいます。企業によって取り組み内容はそれぞれですが、例えば、以下のような活動や職場環境の整備などが行われています。
- 方針の策定・周知や推進体制づくり
- 研修・周知啓発などによる理解の増進
- 相談体制の整備・採用・雇用管理における取り組み
- 福利厚生における取り組み
- トランスジェンダーの社員が働きやすい職場環境の整備
- 職場における支援ネットワークづくり
- SOGIハラスメント(※)の防止
※性的指向や性自認に関連した嫌がらせを行うこと。
参考:「多様な人材が活躍できる職場環境づくりに向けて~ 性的マイノリティに関する企業の取り組み事例のご案内」厚生労相
実際、LGBTQの求職者の方の中には、「LGBTQフレンドリーな企業かどうか」を企業選びの1つの視点として重視している方もいらっしゃいます。
しかし、LGBTQフレンドリー企業と表明していても取り組みが足りていない企業もあれば、企業自身が表明していなくても、LGBTQフレンドリーな取り組みを行っている企業・これから始めようとしている企業は多くあります。
LGBTQに配慮した取り組みは、あくまで働く条件・判断材料の1つであることを心に留めておきましょう。
「企業・業界研究」の取り組み方
自分らしく働くためには、業界・企業についての情報収集は必要不可欠です。
企業情報を調べないで採用選考に臨んでも、なぜその企業を志望するのかを説得力をもって説明することはできません。是非以下の記事を参考に、業界研究を進めてみてくださいね!
就活STEP3 書類作成
「書類作成」の取り組み方
OSAKAしごとフィールドのWEBサイトでは、応募書類作成の際の基本となる考え方や、押さえるべきポイントを学ぶことができるセミナー動画を無料で公開しています。まずは、以下の動画を参考に書類作成の基礎を学びましょう!
LGBTQならではの、よくある書類の書き方NG例
志望理由が「LGBTQフレンドリー企業だから」
採用担当者からすると「うちの企業でなくても良いのでは?」と捉えられる可能性が高い志望理由です。自身の強みをアピールしながら、それをどのように活かして活躍できるのか、なぜその企業でなくてはならないのかを伝えられるようにしましょう。
セクシュアリティが強みの根拠になっている
「LGBTQ当事者なので、多様な考え方ができます。」など、セクシュアリティを強みの根拠にするのはNG。LGBTQフレンドリー企業を受ける際に、こういった内容を強みに書かれる方もいらっしゃいますが、フレンドリー企業だからといって、当事者が特別採用される訳ではありません。強みとして書く場合は、LGBTQ当事者だからこそ経験できたことや、その経験の中でついた力・学んだことを根拠にして書きましょう。
応募書類は、企業側に「会ってみたい!」と思ってもらえる書き方になっているかが重要。そのために、自分が企業にどんな貢献ができるのか、あなたを採用することでの「企業にとってのお得感」をしっかり伝えることが大事です。
面接官が「お得」と感じるポイントって?そんな疑問に応える大切な書き方のポイントを、以下の記事でご紹介中です!
就活STEP4 面接
LGBTQへの理解度合いは、企業や個人の考え方によってそれぞれです。面接はLGBTQについて理解してもらう場ではなく、自分がその会社にマッチしているということを伝えるのが一番の目的だということを忘れずに、対策を進めていきましょう。
「面接対策」の取り組み方
面接は選考の決め手となる大事な時間。まずは面接準備で押さえるべきポイントを以下の動画で確認しましょう!選考突破のための面接のポイント、ビジネスマナー等、突破につながるヒントをお伝えします。
就活における身だしなみ
面接は受け答えの内容だけでなく、マナーや印象なども重要な評価項目になります。
清潔感のある身だしなみや、明るく礼儀ある振る舞いを心がけましょう。
就活の身だしなみチェックポイント
- 髪の毛で顔や目元が隠れていない(表情がハッキリ見える髪型が望ましい)
- 髪が長い場合は結び、きちんと整えているか
- シャツやスーツの着こなしに清潔感があるか(シワがある状態や、着崩しはNG)
- メイクをする場合、濃い色のチーク・リップなどは避け、血色感のある印象か
性自認に合わないスーツを着たくないなど、身だしなみに関する悩みをもたれる方もいらっしゃると思います。もちろん、性自認にあった服装や身だしなみをすることは、ビジネス上のマナー違反ではありません。
男性用・女性用を組み合わせたり、近年ではLGBTQの方向けのスーツなどに理解ある店舗やオンラインショップを探すことも可能です。自分にあったスタイルで心地よく就活に望める服装を探しましょう。
LGBTQコミュニティスペース for Work
OSAKAしごとフィールドでは、LGBTQの方やそうかもしれないと感じている方が、働いたり仕事探しをする上での想いなどをありのままで話し合い、自分らしく働くこと・生きることについて、話し合える場所を開放しています。
例えば、
「就活中のどのタイミングでカミングアウトしよう?」
「LGBTQフレンドリー企業をどうやって探していますか?見分け方のコツは?」
「性別移行のタイミングに迷っています」
「身体と性自認が一致していない場合、どの名前を使って就活しますか?」
など、スタッフ・参加者の方々と、就活や仕事の話を中心に様々なお話をしていただけます。
OSAKAしごとフィールドを活用する一歩目として、是非ご活用ください。